ドラクエⅡが発売された当時、買い求める人の長い行列が話題になり、新聞記事にもなったのです。そんな記事を見て、当時の小学校の担任の教師が、
「怪物を倒して成長するというのはおかしい。人間とは、様々な経験を積み、人として心が成長していかねばならないのだ」と、よくわからないことを言われました。
小学校を卒業して数十年、今では先生が言われたことがよくわかります、という文章の流れであれば、ごく自然な意識高い系のブログっぽいのですが、残念ながら、負けいくさは意識低い系ブログですし、当時の小学校の担任にはいまだに恨み辛みがございまして、ぶっちゃけ今でもちっとも理解できません。
怪物を倒していくことで、繰り返し繰り返し同じことをすることで技術を身につけ、経験値が上がりレベルアップしていく、これはしっかりと理解できるのです。武器の使い方、防御の仕方、これはもう職業訓練と一緒で、何度も何度も繰り返して覚えるしかないのです。このような地道な積み重ねでもってテクニックを身につけて、なんとなくレベルアップしていくのです。これを否定されるのはまずどうかと。
逆に、様々な経験を積み、人として心が成長するという、実に漠然とした表現に関しては、何を寝ぼけたことを言っているのかと思います。人の心など、いくら頑張ってもそんなに成長などしません。小学生の時の自分の方が、宿題はするわ、塾には通うわ、お稽古事にも行くわ、それより何より、きちんと学校に行って、じっと座って授業を聞いて、よくそんなことしてたなぁと思います。あんな50分間もじっと座って、しかも眠りもせずにただただ話を聞くなんてことが、今となってはできようはずもありません。あの時の自分の心の方がずっと成長していたのではないかと思うぐらいで、当時から後退こそすれ、前進しているような感じもありません。ただ、地道な積み重ねでもって生きるテクニックを身につけているので、レベルアップしているように見えるだけです。心の中までレベルアップしているなんて、そんなことはありません。
よく「人間は変わらなければならない」と言われます。世の中には何かにつけて「改革だ!」と変化を求める人ばっかりです。少しずつでも変えていく努力を惜しんではならないと意識高い人なら言われるでしょうが、そんな人は日本の古典をもう一度勉強してください。紫式部の「源氏物語」なんて、今の昼メロとどこが違うのでしょうか。古代エジプトのパピルスには「今の若者はなっとらん!」と書かれていたというではありませんか。人間は変わらないのです。変わらないことを前提に、ちょっとだけ技術やテクニックなんかを進化させてきたに過ぎないのです。
というわけで、のんびりだらだらしましょう。