ぐわぐわ団

読んで損する楽しいブログ

風船の贈呈を断る

箕面のキューズモールでぶらぶらしていたら、知らない子が近くに寄ってきて、手にしていた風船を私の前に差し出して「どうぞどうぞ」と言う。

どんなに私が風船を好きでも、知らない子から、何の理由もなく風船を贈呈されては困る。極めて紳士的に「いえ、結構です。」と断った。

知らない子は風船を手に、残念そうな様子で通り過ぎていった。私は、風船の贈呈を断ったにすぎないのであるが、端から見ていた相方が不思議そうな顔をして、何があったかを尋ねる。事の顛末を打ち明け、風船の贈呈を断った事に勿体無い事をしたと怒るかと思えば、けたけたと笑い出す。

「どうして、あの子は風船を贈呈しようとしたのかしら。」

そんなことは、子に聞いてもらいたいものである。私はただ、風船の贈呈を丁寧に断っただけである。風船を渡すとしたのは、あの子なのだ。知らない子の事情を私が知る由もない。

……この前、箕面のキューズモールで本当に起きた出来事をべよっと書いてみたら、何となく大正時代の私小説っぽくなりました。