分数の割り算でひっかかる子どもが多いそうです。「なんでひっくり返してかけるの?」と考えてしまって、ひっかかってしまうそうな。
「ひっくり返してかけたらいいんですよね?」
「なんで?」
「さあ?とにかくひっくり返してかけたらいいと覚えたし。」
……そうなんです。ほとんどの人が「分数の割り算はひっくり返してかけたらいい。」としか覚えておらず、きっちり答えることができません。私自身「ひっくり返してかけたらいい。」としか覚えていませんでした。
とはいえ、理屈を知っておくに越したことはありません。
その答えは、この本に書いてあります。発売日が昭和34年、つまり52年前に書かれた本です。この本に書かれていた答えがこんな感じです。
3割る2分の1(3÷1/2)を考えます。
3割る2分の1というのは、3mのひもから1/2m、つまり50cmのひもを切り取ったら何本取れるかという問題と同じ意味です。上の絵を見てもらえればわかりますが、答えは6本ですよね。つまり割り算というのは本数を数えるための計算であり、A÷Bという式の意味をAの中にBはいくつあるか?と考えればいいのです。
では、もう一歩先に進みます。6割る5分の2(6÷2/5)を考えます。
先ほどの考え方からすると、6mのひもから2/5mのひもはいくつ切り取れるか?その本数が答えになります。
そして、2/5mというのは、2mを5つに分けた長さです。2/5mが5本集まると2mになりますよね。
一度に計算ができないので、まずは2mのひもを切り取ってみます。これは6÷2で3本になります。つぎにその2mのひもを5等分すれば2/5mのひもができますが、本数は5倍になるので3×5になります。最初から計算すると、6÷2×5=15、分子の2で割って、分母の5をかけて、答えは15。つまり、ひっくり返してかけています。
これは、どんな分数についても言えることなので「分数で割るには、分子で割って、分母をかける」計算をすればよいことになります。
……理解できましたでしょうか?実は、この説明をしてもやっぱりよくわからないと言われたりもしたわけです。たぶん、こんなにややこしく考えるより、ひっくり返してかけると覚えておくほうがラクだからです。
分数の割り算ですら、なぜ?が説明できかったりするわけですから、相手に物事を理解させるということは実は相当難しいことなのです。あきらめましょう。合掌。