ドイツ人ストリートミュージシャンと結婚されてドイツで暮らしているあかねさんのブログの記事にいささかニヨニヨしてしまったので、ご紹介させて頂きます。
ドイツには「秩序局」というお役所があって、アンプを使って演奏をしていると「アンプは禁止というルールだから。」という一点張りで止めにくるんだとか。
この「ルールだから」というフレーズを目にすると思い出すのが、私の座右の書である、中島らもの『超老伝〜カポエラをする人』なのです。
本当に何度繰り返し読んだかわかりません。大学受験の時にも持って行って読んでました。ぐわぐわ団はこの本がなければ生まれていません。それぐらい大事な本。
この本の中の「地獄の三分間」という話の中で、法は法としていかにそれが悪法であろうとも墨守する小田切伍長というキャラクターが出てきます。この小田切伍長のことを主人公の菅原法斎がけちょんけちょんに言う部分があるのです。
まああれほど頭の悪い軍人もおらなんだな。頭が悪い奴というのはその悪いぶん、異常に規則とかルールが好きなんじゃ。自分で臨機応変に対応できんものだからすみからすみまで実によく規則を覚え込んどる。(中略)味方の兵隊が虎に襲われとるのに、「敵軍以外の民間人に発砲することは国際条約によって禁止されています」と言ったりな。あれは「虎」だ、「民間人」ではないと言うのに、理解するまでに時間がかかって、虎が人間くわえてジャングルに引っ込んだ頃になって、「ああ、そういうことだったのか」と言ったりな。
小田切伍長は小田切伍長でこんな独り言を言います。
ま、ほんとのことを言えば、ルールを守るほど気楽な生き方はないのだが、それを言ってしまえば身もフタもないわな。(中略)それにしても、理屈の通った抗弁を立ててくる相手に向かって、冷たい表情で、「しかし、これは規則ですから」とピシャっと言ってやるときの気持ち良さというのはないな、うん。
少し長くなってしまいましたが、頭が悪いから規則を守るという見方にも共感できますし、ルールを守るほど気楽な生き方はないというのも共感できるのです。ガチガチにルールを守ろうとするのも何だかもんにょりするし、その一方で、仕事とかだととにかくルールやマニュアルがあるほうが考えなくていいのでラクなのです。いちいち考えてたら大変だし、間違えるし。
ルールというのはたぶん、ちょうどいいところ、お風呂で例えたら「いい湯加減」みたいなところがあるはずなのです。ルールを守るのも大切だけど、ガチガチにされても冷たいし、逆にルールなんて知ったことか!みたいな熱さもちょっと困る。「いい湯加減」を探して、のんびり湯船に浸かるのが一番いいんじゃないかなと思うのです。
あかねさんの記事から、私もこんなふうに考えましたというお話でした。合掌。