新年早々ではありますが、みなさんにかなしいお知らせがあります。
上野動物園の象、ジョン、トンキー、ワンリーが死んでしまいました。3頭とも戦争の犠牲となり、エサを与えられずに餓死してしまいました。とてもかなしいことです。
このお話は「かわいそうなぞう」という絵本になって、とても有名になりましたが、事実と異なるところもあります。ただし、その異なるところも「象が戦争の犠牲となった」事実を揺るがすものではなく、戦争が悪いことであることに違いはありません。
その点を踏まえたうえで、どこが事実と違うのか。まず、動物園の動物を殺処分するという命令を下したのは陸軍ではなく、東京都長官(現在の東京都知事)です。現在の東京都知事とカッコ書きで書きましたが、現在の東京都知事である小池百合子でないことはご理解下さい。「象を殺せと命令したのは小池百合子だったのか!小池百合子、許さん!」と短絡的に考えてしまうことのないよう、お願い致します。命令を下した東京都長官とは、大達茂雄というおっさんです。戦後はA級戦犯容疑で巣鴨刑務所に拘置されるも不起訴となり、後年は参議院議員となり、第五次吉田内閣で文部大臣となっています。
このおっさん、結構な心配性であったようで「空襲されたらエラいことになるから動物園の動物を殺処分する」と決めたのです。「大規模な空襲が始まったから処分した」わけではありません。この違いでいろいろぐちゃぐちゃと物申している人たちもいるようですが、戦争が悪いという大前提の前には些細な点でしかありません。
調べていくと、トンキーとワンリーはまだ死んでいないのに、動物園が先に慰霊祭を行うなど、むちゃくちゃなこともあったようです。
戦後、日本で生き残った象は東山動物園の2頭だけで、この象を見るための「象列車」という団体専用列車が日本中の子どもたちを東山動物園に運んだのですが、戦後まもなくのGHQ占領下ということもあり、当時の国鉄職員はめっちょこ苦労したそうです。でも、子どもたちに何とか象を見せたいという一心で、どうにかこうにか「象列車」を走らせることができたんだそうです。
東山動物園の象2頭はショーで子どもたちを楽しませていたのですが、昭和30年に担当飼育員を踏み殺してしまい、以後ショーは中止に。昭和38年に2頭とも死んでしまいました。
以上、新年早々ではありますが、かなしいお知らせでした。合掌。