ぐわぐわ団

読んで損する楽しいブログ

花粉症の季節

花粉症の季節です。実にツラい。

しかし、花粉症で良かった。過糞症だったら話になりません。

下品な話で申し訳ないのですが、過糞症という言葉を見ると、中島らもの『アマニタ・パンセリナ』という本の一節を思い出さずにはいられません。

中島らもが仕事を辞めて、家にラリリの居候がいっぱい集まってきたときの話。

正月のある日、汲み取り式の便所の、汲み取り口のフタが持ち上がっていた。不思議に思った僕は、フタをあけてみて失神しそうになった。入り口いっぱいまできていたのだ。

正月だというのに呼び出されたバキュームカーのおじさんは不機嫌だった。

汲み取り口の中を見るなり、

「何食べてますねん、おたくら。こんなぎょうさんババしてもろたら困りまんな」

おじさんに、家の中の連帯を見せてあげたいところだった。

若い人は汲み取り式の便所なんて知らないだろうと思うのですが、過糞症になったらこんなもんでは済まないのではないかと思います。花粉症で良かったと思えるのではないでしょうか。 

そんなわけはない。

杉花粉がじつに恨めしい。目はかゆいし、鼻は詰まってずるずるになるし、本当にロクなことがない。家から出るのがツラいのです。本当に勘弁してもらいたい。

しかし、恨みつらみを嘆いていても始まりません。どうにかして、楽しくならんものかと考えた結果、勝手にナウシカごっこを始めることにしました。花粉症の人にとって、花粉の季節の外界は『風の谷のナウシカ』に出てくる腐海のようなものなのです。マスクなしでは生きられない世界です。そんな腐海の中で生きる人を、頭の中で演じるのです。

……ちっとも楽しくない。

マスクなしでは5分と生きられない、瘴気に満ちた世界で生きる人類を演じたとしても、「だから何?」という結論に至りました。ただ、花粉症で死ぬわけではないので、『風の谷のナウシカ』の腐海の世界よりかは幾分マシというだけで、しんどいことに変わりはありません。

結局、考え方で花粉症がラクになったり、楽しくなったりするわけではないという事実だけが目の前にあるのです。実にツラい。合掌。

▼引用したのはこの本の文章です▼

アマニタ・パンセリナ (集英社文庫)

アマニタ・パンセリナ (集英社文庫)