本屋さんで見つけて思わず手に取りました。中学生、高校生向けに出版されている岩波ジュニア新書、大人が読んでも十分過ぎるほど面白いのです。
中学生、高校生向けに書かれているので、ものすごくわかりやすく書かれています。
本の内容ですが、人から何かを頼まれたときに断りにくかったり、周りの人に気を使って自分のしたいことができなかったり、先輩に従わないといけなかったり、LINEやメールのやりとりをいつ切ったらいいのかわからなかったり、特に若い人にとってはやったらめったら生き苦しい世の中ですが、その生き苦しさのヒミツを解き明かして、ラクになるための方法が書かれています。
まず、「世間」と「社会」という2種類の世界の違いを理解するところから始まります。「世間」と「社会」は似ているようで全然違うものです。世間体を気にして……という言い回しはちょこちょこ耳にしますが、社会体なんて言葉は聞いたことがありません。簡単に言うと「世間」は自分の知っている人たちの集まり、「社会」は自分の知らない人たちの集まりです。
この本を読んでいるあなたの周りには、「世間」と「社会」という2種類の世界があるのです。
あなたはふだん、学校や塾、近所の知り合いの人達という「世間」に生きているはずです。そして、道や駅やお店で会った「社会」に生きる知らない人と長く話し込む機会は、あまりないと思います。
それが平均的な日本人です。
そして、日本特有の歴史背景を紐解いて、「世間」のルールをわかりやすく説明して、そのうえで「世間」との戦い方が書かれています。何度も言うようですが、中学生、高校生向けに書かれた本ですので、とってもわかりやすく書かれています。
ちなみに、「世間」のルールとはどういうものなのかと言いますと……
- 年上がえらい
- 「同じ時間を生きる」ことが大切
- 贈り物が大切
- 仲間外れを作る
- ミステリアス
言われると「あー、はいはい」って感じなのですが、ぼんやりとしたことを文字にすることが大切じゃないかなと思います。ぼんやりとしたままだと、どうにも対処しようがありませんが、はっきりさせると具体的に対応策を考えることができます。
詳しくは本を読んで頂ければと思います。
そして、この本の中で一番「これは知っておいたほうがいい」と思ったことが、最後に書かれている「26 スマホの時代に」の中に書かれている「正義の言葉」に関して。
マニアぶって、マンガや映画、小説のことを書いても、すぐに誰かに否定されます。
「何者にもなれない」自分を突きつけられるのです。
でも、こういう時、絶対に否定されない言葉があるのを知っていますか?
それは、「正義の言葉」です。
この「正義の言葉」を使って「何者かになろう」という人が増えてきたというのです。これは私もたくさんのブログを読んだり、ツイートを眺めていて実感することです。「正義の言葉」という鎧を着て、何かに向かってガンガンに攻撃しまくっている人、いませんか?
この本の著者はこういう風潮に対して、こう書いています。
ずっとインターネットをさまよい、観察し、告発し続けないといけないのです。とても疲れる人生だろうと思うのです。
誰かを憎み、告発することを基本にするのではなく、自分を認めること、つまり、「自尊意識」を高めることを目標にした方がいいと思っています。
SNSに写真や文章をアップするのは、「正義の言葉」でも「人の評価」でもなく、あなたがそれを「好きかどうか」「やりたいかどうか」で判断するのです。
この文章を読んで、「この本いいな」と思いました。
「好きかどうか」「やりたいかどうか」を考えて、好きなこと、やりたいことをするほうが楽しいですし、この本でも書かれていますが、好きなこと、やりたいことを粘り強く続けていくことで、自分をいい方向に変えてくれる素敵な情報や人と巡り会えたりします。狭い「世間」から抜け出すきっかけになるのです。
というわけで、ちょっといつもと雰囲気が違いましたが、本の紹介をさせて頂きました。合掌。
▼紹介させて頂いた本はこちらです▼
「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書 893)
- 作者: 鴻上尚史
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2019/04/20
- メディア: 新書
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