ぐわぐわ団

読んで損する楽しいブログ

『世界の性習俗』を読みました

ぐわぐわ団では事あるごとに「みんなちがって、みんなかわいい」を言い続けていますが、今回取り上げる本も「みんなちがって、みんなかわいい」を実感することのできる、とてもおもしろい本です。

世界の性習俗 (角川新書)

写真に写っているガングロメイクをしているギャルのような方たちは、アフリカのニジェールの遊牧民であるウォダベ族の男性です。ウォダベ族は女性よりも男性が着飾り、朝起きると、まず手鏡をのぞいて自分の顔をチェックするんだとか。彼らにとって、男は美しくあることが何よりも大切なのです。

そして、毎年9月の祭に美男子コンテストが行われ、勝者は審査員の女性とセックスができます。なんじゃそりゃと思われるかもしれませんが、書いてあるんだから仕方がない。

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ニヨニヨできる話もあれば、さすがにちょっとどうなのよ的な話もあり、自分の持っている価値観がぐらぐらします。

相撲の女人禁制なんてのも、つい最近になって伝統だ何だと言い出したことであって、『日本書紀』に初めて「相撲」という言葉が出てくるのですが、この時の力士は女性です。十八世紀には江戸、大坂で女相撲が興業された記録が残っていますし、女と羊の相撲なんてのもあったようです。この本の筆者がおもしろいことを書いているのですが、この女相撲というのは「女人禁制」だったそうで、この辺りから相撲が女人禁制になったのではないかと推察しています。力士が女人禁制ではなく、観客が女人禁制だったというだけでも、めちょんこおもしろい話です。

盆踊りが性的乱交をともなうものであったため、明治政府が何度も「盆踊り禁止令」を出したとか、日本もめちゃくちゃだったのです。もしかしたら、今の価値観が異常で、昔の価値観が正常なのかもしれません。判断のしようがないというのが実際のところ。

「みんなちがって、みんなかわいい」を頭に入れて読まないと、この本のおもしろさはさっぱりわからないような気がします。いろんな価値観があって、何が正しいとかそんなことはなくて、ただただいろんな価値観があるだけ。それを実感してもらえたらいいなと思いました。合掌。