私は、めだまやきを焼くのが上手いのです。自慢に聞こえるかもしれませんが、はっきりと言いましょう、自慢です。
外はカリカリ、中は半熟のめだまやきを焼かせたら、1億2000万本の指に入るであろう腕前です。おそらく、山根会長が泣いて喜ぶめだまやきを焼くことができます。残念ながら、葡萄の作り方は葡萄農家ではないため、わかりません。山根会長って誰?という方は、各自で調べましょう。
さて、めだまやきの焼き方ですが、こればっかりは経験を積むしかありません。卵というのは大きさ、新鮮さ、黄身の濃さ、白身の量、いろいろな要素があって、どれひとつとして同じものはありません。しかも、焼く際の気温や湿度にも影響を受けます。どのようなフライパンを使うかによっても出来が変わります。テフロン加工のフライパンと、鉄製のフライパンでは、全くアプローチが違ってきます。
油の量も考えなければなりません。そして、油も種類や状態によって、量を変えたりする必要があります。テフロン加工のフライパンであれば少なめに、鉄製のフライパンであれば多めに、といった基本的なところから、今日は湿度が高めだから油の量を少し増やす必要があるといった、これはもう経験を積んで覚えるしかない部分もあります。
そして、焼くとなったとしましょう。問題は火加減です。フライパンの温度をしっかりと把握したうえで、いつ卵を割り入れるか、どの高さから割り入れるか、卵を割り入れた際にフライパンの温度が下がりますから、火加減を調節しなければなりませんし、二つ一緒に焼くとなれば、更に様々な条件が重なってくるため、もはや言葉で説明するのは困難です。
なおかつ、ある程度外側がカリカリになってきたところで、フタをして水を入れるという工程があります。これはめだまやきの焼き方のひとつであり、流儀によってはフタもしなければ、フタはするけれども水を入れないという焼き方もあり、それぞれに一長一短があり、どれが正しいというわけではありません。しかし、私はフタをして水を入れる方法が好きなのです。
めだまやきを焼くのは奥が深いのです。合掌。