普段は本屋さんの新書コーナーの前でじーっと立ち尽くして、「こういうことは知っておいたほうがいいかな〜」とか、「これは深堀りしておいたほうがいいかな〜」とか、いろいろと考えながら読む本を吟味することが多くて、その結果として『世界の性習俗』『バッタを倒しにアフリカへ』『砂糖の世界史』『教養としてのヤクザ』なんかを読んでいたりします。
一方で、あまり積極的に小説を読まなかったりするのですが、なぜかこの本を読みました。
住野よるといえば『君の膵臓をたべたい』というタイトルの本を思い浮かべます。『君の膵臓をたべたい』は読んだことがないのですが、私が同じタイトルで小説を書いたら、おそらくものすごいスプラッターホラーの小説になるでしょう。それはそれとして。
正直なところ、表紙買いです。表紙を見ているだけで、なんとなく楽しそうで、読みやすそうな雰囲気を感じます。
特に大きな事件が起きるとか、殺人事件を解決するとか、そんなことはほとんどなくて、ただただ主人公・麦本三歩がだらだらと日常を過ごすという内容です。ふとんから出られない描写が延々と続くところなどは最高です。そして、
三歩は甘いものが好きで、ワイドショーが苦手だ。何が美味しいかということに興味があって、会ったこともない人が正しいかどうかということになんて興味がないのだ。
この一文がお気に入りです。甘いものとワイドショーがなぜ並列して語られているのかは多くを語りませんが、とにかくこんな感じの小説です。
一度、なんとなく途中で読み止めていたのですが、新書ばっかり読んでいて疲れたのか、改めて最初から読み始めてみたら、あっという間に読み終えました。本というのは、読みたいタイミングというものがあって、今回はこの『麦本三歩の好きなもの』がぴったりタイミングが合ったのだと思います。
さて、前々から私も小説を書こうとしていると公言しています。
電子書籍で出すつもりの小説の原稿書きが予定よりも大幅に遅れていますが近いうちに出したいといつも思っています。たまにこんな形で決意表明をしておかないと、いつまで経っても『忍者龍剣伝』ばっかり上手くなるだけで前に進まないのです。
— まけもけ (@make_usagi) 2020年5月17日
どんな小説なのか、ほんの少しですが書き出してみます。
私は赤ちゃん仮面。インドの山奥で三十年、中国・少林寺で三十年、そして悪役レスラー養成機関「尻の穴」で三十年、厳しいトイレトレーニングを積んできた。にも関わらず、最近は尿もれがひどい。インドの山奥で三十年、中国・少林寺で三十年、そして悪役レスラー養成機関「尻の穴」で三十年、総じて九十年に渡り厳しいトイレトレーニングに取り組んできたというのにだ。ほんのちょっとでも驚いたりするとダメだ。ここ数年は特にひどい。あっという間にじょんじょろりんだ。私は赤ちゃん仮面だから、おむつをずっと使っているが、もれることはあまりなかった。しかし、今はダメだ。修行をしすぎたのかもしれん。過ぎたるは及ばざるが如しと言うが、来る日も来る日も毎日毎日トイレトレーニングに取り組んだにも関わらず、なぜ私は尿もれがひどいのか。トイレの道はかくも険しいものなのか。
こんな感じの小説です。ようやく1万字を超えて、少しずつ波に乗ってきた感じです。合掌。