原作の小説は読んでませんし、17年前に作られた実写版の『ジョゼと虎と魚たち』は私の中で「めっちょどろどろしていて重たくてしんどい映画」というカテゴリーの中に入っていたので、アニメ化すると聞いて「え?なんで?」というのが正直なところでした。
若いときであれば、どろどろな重たい映画を観ても「これが映画の醍醐味だ!」みたいな感じで受け止めてケロッとしていたわけですが、年齢を重ねるにつれてどろどろで重たい映画は「世の中がどろどろで重たいのになんでわざわざ映画でしんどい思いをせないかんのよ」みたいに考えるようになり、重たいテーマの映画は避けるようになっていました。わざわざストレスを受けに映画を観るほどストレス耐性があるわけではないのです。
というわけで、今回の『ジョゼと虎と魚たち』ですが、ぶっちゃけめっちょこステキな映画です。ネタバレになるのを承知で書きますがラストは最高です。スタッフスクロールが流れ始めても幸せが続きます。ジャッキー・チェンの映画のNG集も幸せになりますが、アレの5億倍は幸せな気分になります。映画の世界ぐらいは希望に満ち溢あふれていてもええやんというのが正直なところ。
ヒロインのジョゼは足が不自由なのですが、それも「個人の個性のひとつ」のように描かれていて、この描き方が私にとってはよかったです。
「みんなちがって、みんなかわいい」ですからね。
舞台が大阪なので、知っているところがやったらめったら出てきて、特に「てんしば」で楽しむジョゼと主人公なんてのは「おお!てんしばや!こんなに芝生青々としてないで!」とツッコみながら見てしまいました。あべのハルカスも出てきますし、なんで登らへんねん!と思いながらも、それはそれでいろいろと権利関係の問題があるのかもしれません。
映画を観た後、文春オンラインで「名作『ジョゼと虎と魚たち』アニメ版は”純愛推し”だが…消された「性被害」の重み」という記事があがっていたので読んだのですが、言いたいことはわからなくもないけれど、私自身は重みがないほうが好きだな〜と。
おそらく原作好き、実写版好きの方々からすれば異論もあると思われるアニメ版ですが、私はアニメ版を推します。映画は幸せなのがよいです。合掌。