豊昇龍、やはり休場してしまいました。4日目で1勝3敗なら仕方がないといえば仕方がないのですが、横綱は大関に陥落とかなく、どうにもならなければ引退しかありません。ここで問題になるのは「横綱昇進はまだ早かったんじゃないか?」という議論です。
照ノ富士引退も重なり、横綱審議委員会の判断が緩かったという意見もあるでしょうが、当時は12勝3敗とはいえ巴戦で頑張って優勝したということもあり、横綱昇進は当然という雰囲気が確かにありました。にも関わらず、今になってめちょめちょに負けているから「あの時の昇進は早かった」と言うのは後出しジャンケンです。豊昇龍は判断が緩かったかもしれませんが、横綱になった以上は横綱として全力を尽くさねばなりません。
とはいえ、横綱のプレッシャーというのはものすごくものすごい重さでのしかかってくることは知っています。私も横綱だったときは常に勝たねばならないという重圧に押しつぶされそうになりました。不知火型で土俵入りをしている時も、今日負けたらかっちょ悪いなぁと思いながら四股を踏んでいたものです。会場が「よいしょー!」と掛け声をかけてくるのを聞いて、下品だからやめてほしいなぁと思いつつも、頭は結びの一番でいっぱいでした。
ですから、引退を決意して実際に引退となった時の開放感はびっくりするほどでした。晴れやかとかそういう言葉で言い表すことはできず、あえて言うならば、とにかくほっとした感じでした。横綱として土俵に立っていた時は口数も少なく、常に殺気立っていましたが、引退を決めてからは人間が丸くなり、口数も多くなりました。稀勢の里関も横綱を引退してからは口数が増えましたし、横綱経験者ならば膝を叩いて「その通りや!」と同意してもらえるのではないかと思います。
とにかく、豊昇龍は休場している間はエスカレーター片側あけに全力を尽くしてもらいたい。そして、横綱から大関に陥落はできませんが、来場所以降も成績が良くなければ四股名を豊昇龍から貧降蛇にしてもらいましょう。合掌。