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読んで損する楽しいブログ

旧デレラ

先日、テレビで実写版『シンデレラ』をしていました。ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。

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このように『シンデレラ』はやたらと有名な話ですが、あれは新しい方のデレラの話なので、漢字を使って書くと『新デレラ』になります。そして、『新デレラ』がある以上、『旧デレラ』も存在します。『新デレラ』は西洋のお話ですが、『旧デレラ』は日本のお話です。

しかし、日本ですから、そんなに華やかなことになりません。お城で舞踏会なんて派手なことがあるはずもなく、地味に御所で園遊会です。そして、王子なんていません。いるのは皇太子です。魔法で服装をどうにかしたところで、身分の違いというのは如何ともしがたく、園遊会に出席するのですら困難を極めます。

魔法使いなんてのも日本ですからいません。いるのは陰陽師ぐらいのものでしょうか。それとも、妖術使い。どちらにしても、『新デレラ』に比べると地味というか、かなりもんにょりします。陰陽師になんとか十二単を用意してもらったデレラ、ガラスの靴など昔の日本にあるわけがなく、ビロードのわらじを履きます。

「12時を過ぎたら魔法が解けてしまいます」

『新デレラ』はこのような制限がつきましたが、『旧デレラ』だとこうなります。

「子の刻を過ぎたら妖術が解けてしまいます」

子の刻という言い回しも微妙極まりないわけですが、それより子の刻まで園遊会が行われるなんてことはありません。だいたい明るいうちに終わってしまいます。

どちらにしても、あまりおもしろい話ではありませんし、『新デレラ』に比べると地味ですし、継母によるいじめは『新デレラ』と比べて陰険で陰湿で実にどろどろとしています。直接的な描写はなく、とにかく間接的にじわじわと真綿で首を絞めるように、帰り前際に「何もおへんけどお茶漬けでも……」と言う京都人のような、そんな継母の描写に読み進めるのがしんどくなるのです。『旧デレラ』は人気がないので、実写化の予定はありません。残念です。合掌。