今日の夕ごはんはロースーでした。
いや、正しくは青椒肉絲(チンジャオロースー)なのですが、フランス人の父が「贅沢は敵だ!」と言っている横で、ジャマイカ人の祖父が「それより僕と踊りませんか」と誘ってくるような家庭環境の中、私は贅沢ができなくなってしまったのです。チンジャオはなくてもロースーさえあればよいと思いますし、わざわざチンジャオロースーと発音するのも疲れるので、私の家ではチンジャオロースーのことはロースーと言うことにしているのです。
ジャマイカ人の祖父はやたらと踊ろうとしてきますが、探しものが見つからないのでそれどころではありません。机の中も、カバンの中も、探したけれど見つからないのに、おでこに乗っているメガネは何だ!と叫ぶことも日常茶飯事でした。そんな生活にも楽しみがありました。それはおやつの時間です。外で節子と遊んでいると母親が「カルピスも冷えてるよー」と声をかけてくれるのです。そして、家に帰ると、そこにあるのはカルピスではなくコーラスではありませんか。しかも、やたらと薄いホメオパシーコーラス。時にはコーラスですらなく、アンバサであったこともあります。
さて、与太話はそこそこに、チンジャオロースーとはどのような料理かと言いますと、フランスの家庭料理です。 地中海に面するマルセイユで特によく食べられる料理で、豚肉をスティック状に切って、ピーマンと一緒に甘辛いタレで炒めるのです。私はよく未酒乱ガイドの三つ星フレンチレストランでチンジャオロースーを頂きました。ですから、舌が肥えているのです。普通のチンジャオロースーでは満足できません。
こちらの日本ハムの中華名菜 青椒肉絲がお気に入りです。なぜか中華と書いてありますが、フランス料理のはずです。日本ハムも間違えることがあるようです、くわばらくわばら。
みなさまもぜひ、フランスはマルセイユの風を浴びるように、ロースーを浴びてみてはいかがでしょうか。マルセイユには日本の国立競技場を設計したザハ・ハディドの CMA CGM タワーもあります。めでたしめでたし。合掌。