大した話題でもないのに「続」とか付けて、傷口に塩を塗るようなことをします。……傷口に塩を塗ると言いますが、何となく違和感を感じないでしょうか。一説によると「塗る」という言葉、「濡れる」と同源であるとのこと。辞書で言葉の意味を調べてみても、物の表面に液や塗料、またジャム・バターなどをなすりつけるという意味になります。塩は……固体です。水分をたっぷり含んだぐっしょりした塩であるなら、塩を塗るという表現に違和感はないのですが、普段使う塩はさらさらの塩ですので、塩を塗るなんて言われると、そんな塩には炒った生米を中に入れて、水分を抜く必要性に駆られます。炒った生米でなんともならんぐらいにぐっしょりと濡れているのであれば、そんな塩はどうしたらいいのでしょう。困ったことになりました。
そもそも、傷口に塩を塗るなんて表現がSっ気あり過ぎなのです。傷口に赤チンを塗るぐらいにしましょう。
……若人よ、きょとんとしないでください。おそらく若人は「赤チン」なんて知らないでしょう。世代間格差をこれまたじんわりと感じます。実は私もよく使っていたものの、なんのこっちゃかわからんまま怪我したら使っていたので、ちょっと調べてみたところ、「赤チン」って消毒液だったんですね。傷口の表面を保護するもんだとばかり思っていました。赤くなるから血の代わりにかさぶたになってくれるとばっかり思っていましたよ、全然認識が違いました。びっくりです。
それはそうと、話を思いっきり戻しますが、くも膜の話です。「くも膜下出血」と書いたフリップを持って、街の人たちに「この言葉を発音してください。」とお願いしてみてください。
「Sorry, I cannot speak Japanese.」
「Don't give up! Yes we can!」
「Oh, Yes we can!」
「Yes we can!! Yes we can!! Yes we can!!」
周囲の人たちも巻き込んで「Yes we can!」のシュプレヒコール!
って聞く相手を間違えています。母国語が日本語の人に「くも膜下出血」を発音してもらってください。そうすると、ほぼ99%の人が「くもまっかしゅっけつ」と発音するはずです。医療用語の読み方辞典で調べると「くもまくかしゅっけつ」と書いてあるのですが、「くもまくかしゅっけつ」なんて発音するのはよっぽど几帳面な人か、医療用語の読み方辞典の筆者ぐらいではないでしょうか。
くも膜の二つ目の「く」が下出血のせいで、小さい「っ」になってしまうのです。これはやはり許せるものではありません。二つ目の「く」のためにも、くも膜は下出血と関係を清算し、すっぱり別れるべきなのです。腐れ縁などと言って、ずるずると関係を続けていくことは良くないことなのです。
誰ですか、水族館を「すいぞっかん」と発音するのは。水族と館も別れさせますよ。