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タピオカの収穫

いつのまにか、当たり前の存在になっていたタピオカ。街を歩けばタピオカの入ったドリンクが売られていて、若いヤング女子が太いストローでタピオカをごんごん吸いておるのです。

タピオカの実の収穫はとても大変な作業で、朝の早くから始まります。発展途上国のプランテーションで広い敷地に整然と植えられたタピオカの木から、ひとつずつ手作業でタピオカの実を収穫していくのです。ある程度大きく育ったタピオカの実を選び、かごいっぱいに集めるのに2時間ぐらいかかります。しかしながら、かごいっぱいに集めても1ドル程度の報酬しかありません。

最近はフェアトレードの概念が根付き始めてきたので、少しですが報酬は上がりつつあります。とはいえ、タピオカの収穫で生活をするのは容易なことではありません。タピオカが豊作であればよいのですが、実があまりならない年もあります。それでも、かごいっぱいに集めなければいけません。少ない実をたくさんの人が争うように収穫するのです。

2013年はタピオカが例年になく不作で、タピオカのプランテーションで大規模な暴動が起きて、死者まで出てしまいました。最近のことですので、みなさんも「タピオカの悲劇」事件のことは聞いたことがあると思います。軍隊まで出動して暴動を制圧したものの、プランテーションは壊滅状態となりました。

そんなとき、南洋植物の権威である田中一郎教授が立ち上がり、手弁当でタピオカの栽培方法を教えに行きました。言葉の壁、文化の壁、そして貧困の問題と様々な困難が立ちふさがりましたが、田中一郎教授はタピオカのために尽力し、今ではタピオカはある程度安定して収穫できるまでになりました。

今、若いヤング女子が太いストローでタピオカをごんごん吸いていられるのは、田中一郎教授の尽力の賜物です。2018年に帰国した後、ジステンパーによって急逝されてしまいましたが、タピオカのプランテーションでは今でも「タナカイチロー」の名が語り継がれています。全部ウソです。合掌。