ぐわぐわ団

読んで損する楽しいブログ

人の欲望はとどまることを知らない

人は悲しい生き物です。どれだけ己の欲望を満たしたとしても、更なる欲望の炎に身を焦がしてしまうのです。それは3歳となった姪っ子ちゃんとて例外ではありません。

「ねえねえ、わたあめおばけ描いて!」

姪っ子ちゃんの欲望が芽を吹いた瞬間です。iPad Proを使って、あろうことか見たことも聞いたこともない「わたあめおばけ」を描くように命令が下りました。私は水木しげるではないので、妖怪やおばけには詳しくありません。本音を言えば、世間並みでしかありません。どの程度が世間並みなのかはわかりませんが、程度に関しては各自で忖度頂ければ幸いです。

「わたあめおばけ」など聞いたこともなければ、見たこともありませんでしたが、姪っ子ちゃんの命令であれば仕方ありません。己のインスピレーションを頼りに、描きあげたのがこちらになります。

姪っ子ちゃんはケケケとひとしきり笑ったあとで「もっと怖く描いてね!」と更なる命令を下します。どうも、この三男っぽいわたがしおばけでは満足頂けなかったようです。「怖さ」が足りない。実に難しい注文です。

怖さを前面に押し出してみました。かなりの怖さを表現したつもりなのですが、姪っ子ちゃんは無慈悲にも消去ボタンをぽちっと押して「もっと怖いのを描いて!」とせがみます。こちらは消去ボタンを押される寸前にどうにか保存しておいたものです。

2018年の年末に放映された「犬神家の一族」のスケキヨのマスクっぽさで勝負してみました。虚無を見つめる黒い目で怖さを存分に表現したのですが、人の欲望はとどまることを知りません。更なる描き直しの命が下りました。

通常の表現では姪っ子ちゃんの欲望を満たすのは不可能だと悟り、一気にアバンギャルドな方向に舵を切り、突き進んだ作品がこちらになります。己の持つ表現力を全て使い果したと言ってもいいでしょう。しかし、姪っ子ちゃんは口がふたつあることがおもしろかったようでケケケと笑った後、「失敗したねぇ」と、とんでもない事を言ってのけます。私の作品に失敗などあるはずがありません。全ては姪っ子ちゃんのため、真剣勝負なのです。

結果的に、こちらの絵をお納めすることになりました。姪っ子ちゃんは消去ボタンを押すのですが、私は取り消しボタンを押し、姪っ子ちゃんは消去ボタンを押し、私は取り消しボタンを押し、ぐるぐるぐるぐるぐるぐる……

姪っ子ちゃんと楽しく遊んだというお話でした。合掌。