Amazonのなんちゃらセールで、ちくま新書やちくまプリマー新書の電子書籍が安かったんです。だもんで、いろいろと漁っているうちに見つけたのが『みんなの道徳解体新書』という本。著者はパオロ・マッツァリーノという怪しい人。
今回、ちょいちょい長い引用をします。ご了承ください。この本の冒頭の部分です。
「このごろの子どもたちは、自由をはきちがえていて、口先ばかりで実行がともなわない。また自由、自由とばかりいって、責任ということを考えない。これでは、放任の教育だ。」
こんな意見を、みなさんも何度か耳にしたことがあるはずです。昨年、先月、もしかたら昨日聞いたかもしれない。ってくらいにありふれた意見です。
どれくらいありふれているかといいますと、じつは冒頭の文章は、1957(昭和32年)に出版された『新しい道徳教育』という本から引用したものなんです。
いきなり強烈なフックが飛び出します。60年ぐらい前の本に書かれていた内容が、実は今とさほど変わらないという事実にびっくりするのです。
そういえば、この前読んだ『食えなんだら食うな』という本も、昭和53年の本でしたが、最近書かれた本と言われてもわからないぐらいの内容でした。意外と人間というのは進歩も成長もしていないのかもしれません。
さて、『みんなの道徳解体新書』という本ですが、道徳の副読本をいろいろと引っ張り出してきて、へんてこなところをツッコミまくり、道徳教育なんて無駄じゃと一蹴してしまう、大変痛快な本となっております。昔の子どもは道徳心にあふれていたみたいな幻想も、そんなことあるか!と事実とデータをもとにねじ伏せます。
とにかく、めちょんこおもしろかったのですが、最後のほぼまとめのところの文章が秀逸だったので、またまた少し長くなりますが引用します。
ゆえに道徳の授業で教えるべきは、いのちの大切さではなく、多様性の尊重です。
人はそれぞれ考えかたも趣味も見た目も違います。その差異が他人に迷惑を加えないかぎりは、差異をできるだけ認めること。自分とは異なる考えかたや価値観が存在することも認め、考えが自分と異なる相手を頭ごなしに否定・排除するのでなく、自由に議論できるようにすること。憎しみや殺人やいじめを減らすには、その方法しかありません。
憎しみや殺人やいじめを減らすには、ぐわぐわ団が事あるごとに口にする「みんなちがってみんなかわいい」に行き着くのです。
そこで、『YouTuber キティの人生相談』です。
「女子とはどう接したらいいですか?」という、めちょんこ青臭い相談に対して、キティちゃんは「人として相手を尊敬する気持ちをもって向き合おう」と最高に素敵な答えをしています。ハードボイルドな北方謙三氏ならズバッと「ソープに行け!」と言うはずです。しかし、そんなアバンギャルドな答えも「人として相手を尊敬する気持ちをもって向き合おう」と言われたらおずおずと引き下がるしかありません。
話がどっかにいってしまいましたが、この本にもやはり「みんな違ってみんなかわいい!」と書かれています。もっとすごい回答もありますよ。「友だち=人 に限らない」とか「苦手なままでいい」とか。特に、ママ友にちょっぴり苦手な人がいます。どうしたらいいでしょうか?という相談に対する「苦手なままでいい」というキティちゃんの優しい回答。無理しなくていいんだという安心感。
ほんと、世界中にはいろいろ問題があって、人と人でばちばちしたり、国と国でばちばちしたり、ろくでもないことが多いんですが、まずはこの「YouTuber キティの人生相談」を読んで「みんなちがってみんなかわいい」の精神をみんなの心の中に育てる必要があるんじゃないかなと思います。
先日、ピューロランド巡礼をして、その気持ちを一層強くしました。世界中の人が「みんなちがってみんなかわいい」を理解できれば、とっても素敵な世界になるような気がしてなりません。ぐわぐわ団も読んで損する楽しいブログと称して毎日いろいろくだらないことを書いていますが、事あるごとに「みんなちがってみんなかわいい」を広めたいなと思っております。うわ、めっちょこ長くなってしまいました。では、おやすみなさい。合掌。
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