大阪阿倍野・昭和町にある自家焙煎コーヒーのお店「うさぎとぼく」のサイトに書かれていた記事を読んで、えらく驚いたのです。
ショップカードのマイナーチェンジ、店舗情報の記載をほとんどやめてみる…
ショップカードには、お店の住所とか地図とか電話番号とか、来客を促すための情報を書いておくのが普通だと思っていたのですが、そんなことより「インターネットでのお店の発信を見てほしい」とのことで、お店の住所とか地図とか電話番号とかの情報は書かないようにするそうです。
経営コンサルタントにどうすれば売り上げが上がりますか?なんて質問しようもんなら、売り上げは「座席数×客単価×回転数」だから、まずは標準的な喫茶店の座席数と比較のうえで最大限に座席を増やし、集客のために食べログのクーポンなどを活用し、回転数を上げるためにスキームの効率化を図り、注文から提供までの時間を短縮するためのアーキテクチャーの改善がどうたらこうたらと、もっともらしいことを言われると思うのです。
うさぼくさん、どうも逆のことをしているような気がしてなりません。食べログに値上げクーポンを掲載して怒られたなんて話もあるぐらいです。ふたりでお店を回しているので、混んでいる時は、注文から提供までかなり待つこともしばしば。でも、いつ行ってもお客さんはたくさんだし、みんな楽しそうに過ごしていて、お店の雰囲気も実によい感じ。私の知る限りでは「コーヒーまだか!」みたいに吠えるお客さんに遭遇したこともありません。また、体調が悪い時は無理せず営業しないというスタンスだし、みんなもそれを理解している気がします。
それもこれも、インターネットでお店の発信を常にしていて、それに対して波長の合うお客さんがこぞって集まる、という仕組みができているからだと思います。大手のチェーン店ではできない事をしている感じ。ツイッターで何かを呟くにしても、稟議書を書いて上層部の承認を得ないことには投稿できない、なんてところでは、うさぼくさんのスタイルを真似するなんてとてもとてもという感じでしょう。
唐突に店主さんがマイメロになっている写真が載っていたりするのですが、そういうわけのわからない情報も含めて、都度チェックして記事を読んでしまい、気がつけば、遠くの親戚よりうさぼくさんに親近感を感じるようになってしまっているわけです。そういえば、最近行ってないぞと思っては、ひょこひょこと歩いて様子をのぞきに行ってしまうわけですね。そういう人が私以外にもたくさんいるので、経営が成り立っているんだと思います。
これって、昔の八百屋さんと同じじゃないでしょうか。あのおじさんの野菜だから買いに行く、というのと同じ。効率化だなんだかんだで、大量仕入れ価格破壊のスーパーマーケットが幅を利かしてしまって、人と人で成り立っていた商売が、人とモノで成り立つようになってしまい、売る側が見えなくなっている中で、売る側の人となりを大っぴらに見せることで、商売をする。インターネットを使った新しいスタイルですねと結論を書こうとしたのですが、よくよく考えてみると、昔に戻っているだけなのかもしれません。
いろいろと考えてたら、えらいだらだらと書いてしまいました。