WOWOWのドラマ『不発弾』、実に後味が悪くて素晴らしかったのです。全ての悪を「官邸」に擦りつけてしまっておじゃんにするあたりが、とてももんにょりです。結局、デリバティブ絡みの仕組債を仲介しまくった古賀という男はお咎めなしという結果に終わりました。
それはそうとして、最後の古賀のセリフがおかしいのです。
「この国には富める者と貧しい者がいて、富める者はどんどん富み、貧しいものは全てを奪い去られる」みたいな、お前どこまで中二病やねんと思わせるような薄っぺらいことを淡々と一人語りするのですが、まあそのへんは結構です。
それより気になったのがこのセリフです。
「どんな手段を使っても歯医者になってはいけない。」
金融商品、特にデリバティブの絡んだ仕組債で企業の損失を飛ばすといったことに焦点を当てたドラマだったのに、突然「歯医者になってはいけない」と言われたら、混乱するのです。
今はコンビニの数より歯医者さんの数のほうが多いと言われ、歯医者さんになったとしても、なかなか大変だという話はよく聞きます。インプラントに活路を求めたり、ホワイトニングなどの美容歯科に活路を求めたり、実に大変です。昔みたいに「痛い!」と言っても「辛抱しなさい!」と逆に怒られたりするような、そんな歯医者さんには誰も行かなくなり、経営破綻してしまうのです。
ですから、最近の歯医者さんはみなさん親切です。痛くないようにしてくれますし、病院の中も明るく、リラックスして診療が受けられるように、ものすごく工夫をされています。私も、何ヶ月かに1回は歯医者さんに行って、虫歯になっていないかなどをチェックしてもらっています。おかげで、歯のトラブルはありません。実にありがたいことです。
「2080運動」をご存知でしょうか。20歳になっても80本以上の歯を残そうという運動です。「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動 が始まりました。そのためにも、これからも歯医者さんには頑張ってもらいたいのです。
にもかかわらず、「歯医者になってはいけない」とは何事かと。猛省を促したい。合掌。