時計ってすごいのです。
時計が止まっていたら、みなさんはどうしますか？
おそらく、電池を交換すると思います。それはとても正しい選択です。ゼンマイ仕かけの時計なんてのもありますが、話がややこしくなるので今回は電池で動く時計の話に限定させて頂きます。
新しい電池に交換したからといって、時計はよっしゃ！とやる気を出してぐるんぐるん回ったりはしません。電池は新しいのに、です。普通は新しい電池に入れ替えたらパワーがみなぎって、めっちょこ元気になってうわーっと回り出すはずなのに、そんなことにはならないのです。
アンパンマンなんてのは顔が濡れて力が出ないときに新しい顔に交換すると急に元気になってバイキンマンに暴力を振るいます。酒を飲んだら夫が暴れる家庭もあるかと思いますが、似たようなものでしょう。塩対応だったにも関わらず、ドンペリを入れた途端にニコニコしてお酌をしてくるキャバ嬢なんてのも新しい顔を手に入れたアンパンマンのようなものでしょう。つまり、普通はエネルギーを与えたらみんな元気になるのです。
にも関わらず、時計はいくらエネルギーを与えようとも、一定以上の仕事をしません。新しい電池をもろたから２割増しで仕事しよか！なんて露にも思わず、決められた時を刻むのです。以前のソ連の人たちと同じです。いくら仕事をしようがしまいが、もらえるお給金は同じなのですから仕事なんてしてもしなくても一緒なのです。全然話が違います。
とにかく、私たちはもっと時計を見習うべきではないでしょうか。何かエネルギーを受け取ると頑張るなんて人が多いですが、それでよいのでしょうか。目の前ににんじんをぶらさげられた馬のように走っては相手の思う壺なのです。それよりも、コツコツと同じペースを保って、じっくりじっくり進んでいくほうがどれほど素晴らしいことか。
新しい電池を与えられても己の役割をきっちりとわきまえ、決して急がず、必要以上に頑張らず、ただただ時を刻んでいく。人生もこのようにありたいものです。合掌。
