イギリスの権威あるミステリー文学賞であるダガー賞の翻訳小説部門受賞作『ババヤガの夜』を読みました。ニュース見て「へぇ〜、そんな賞があるのかぁ」と思って、Amazonで検索してみたらKindle版もちゃんとあったので「じゃあ読んでみるか」とめちょんこミーハーなことをしてしまいました。そして読んでみたらおもしろいこと、おもしろいこと。
もちろん、ネタバレは一切しませんのでご安心ください。

『哭きの竜』がとにかく大好きな私はヤクザモノには目がないのですが、こちらの小説はヤクザがわんさか出てきます。そして主人公である新道依子がとにかくヤクザとどっかんばっかん殴り合います。血が出るわ、骨が折れるわ、鼻が曲がるわ、とにかくかなりのバイオレンス&スピード。読み始めたら勢いがすごすぎて『ババヤガの夜』に呑み込まれていくのがよくわかります。しかし、呑まれてしまってもどうにもこうにも止まらないわけです。
結局、ガーっと読み進めてあっという間に読み終えてしまいました。正直、途中までは何がミステリーやねん、極道小説やないかと思っていたのですが、思いもよらないところでミステリー要素が出てきてびっくりしたり、とにかくめちょんこおもしろかったです。
グロいシーンもありますが、小説だからリアルな描写を脳内変換でマイルドにしつつ、とはいえ文章はとてもイメージがしやすいので、グッとのめり込めます。簡単な話、ヤクザが好きな人は読んだらよいのではないかと思いますし、ダガー賞ってどんなの?と興味を持った方は呼んだらよいのではないかと思います。
私自身はあんまり小説は読まないのですが、それはなぜかというと、なんとなくです。小説で書かれている世界に呑まれるのが好きである反面、一度呑まれるとなかなか出られないんですよね。感情移入しすぎるというか、世界に入り込み過ぎてしまって現実世界との境界があいまいになるのが怖いという感覚があるので、小説はあんまり読んでないのですが、そんなことよりエスカレーターの片側をあけてはいけないことが書かれていなかったことが悔やまれます。合掌。
