「塩サバと油淋鶏のセットですね!」
私のヒアリング能力が劣っているのか、店員さんの滑舌が絶妙なのか、こちらは「塩そば」と言っているはずなのに、店員さんの発音は「塩サバ」にしか聞こえません。ラーメンを食べにラーメンのお店に来ているのですから、まかり間違っても「塩サバと油淋鶏のセット」なんて酔狂なセットがくるわけはありません。私はそこそこ大人なので「それでお願いします!」と返事をするのです。「塩サバは困るよぉ!」などとしょうもないツッコミを入れたところで、店員さんはこちらの「塩サバ」を勝手に脳内で「塩そば」に変換してしまいますので、きょとんとすること間違いなしです。向こうが「塩そば」のつもりで発した言葉がこちらには「塩サバ」としか聞こえず、こちらが「塩サバ」のつもりで発した言葉が店員さんには「塩そば」にしか聞こえない、なんてことになるのです。ここで私がすべきことは「忖度」です。忖度して、コミュニケーションを満場一致で成立させることが必要なのです。そうしないと、ラーメンが食べられません。
しょうもない前置きはさておき、「鶏白湯らーめん 自由が丘蔭山」が関西初進出、あべのキューズモール4階にお店を出しました。東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー、鶏白湯部門三連覇した、すごいラーメンです。カー・オブ・ザ・イヤーみたいなもんだと思います、東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー。ぐわぐわ団もカー・オブ・ザ・イヤーにはちょっと憧れておりまして、いつの日か受賞したいと思っております。ボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞するにあたってなんだかんだともんちゃちゃしてましたが、私にくれるのなら万障繰り合わせて受賞致しますし、ややこしい態度も取りません。100%ウェルカムです、ノーベル財団!受賞記念講演もしっかりとさせて頂きます!『あいまいで美しい日本の私』というスペシャルな講演を是非!
このように脱線してしまうと、名物鶏白湯塩そばがどんなラーメンだったか語るべきところを、どんどんどんどん話がおかしな方向に行ってしまわれるので、ラーメンの味に関して、語りたいと思います。ドラムロール、どるるるる。
じゃん。
お上品な天一のラーメン……
こんな感想を書くと、初期美味しんぼマニアを豪語する人間が何をしょうもない感想を書いとるんじゃとお叱りを受けるかもしれませんが、 事実なんだから仕方がない。コラーゲンたっぷりのスープはとろとろしていて、実に濃厚かつ美味。私の希少なボキャブラリーの中でなんとか苦心して作り上げた感想が「お上品な天下一品のラーメン……」だったのです。実に美味しかったです。合掌。