『言いたいことやまやまです』のやままさんがお誕生日のお祝いに「おすすめ本」を教えてくださいという、それちょっと面白そう的な企画をされていました。
Amazonのウィッシュリストをべちょっと貼るよりも粋な感じがします。もちろん、私もこの企画に乗っかろうとしました。
特に太宰治、夏目漱石とその周辺でおすすめの小説がございましたら、ぜひ。きれいな敬体(です・ます)の文章はなんでも読みたいです。
自分の読んだ本で「これぞ!」と思うもの。そして、小説。ぐわぐわ団で紹介したことのない本がいいなと思うと、かなりハードルが上がってしまいます。そして、今回選んだのが『新興宗教オモイデ教』。
筋肉少女帯の大槻ケンヂの書いた小説です。
書かれたのは1991年。やままさんが小学1年生の時です。
最初に読んだのがいつかは思い出せないのですが、若かりし頃に手にとって、ハンマーでぶん殴られたような衝撃を受けた小説です。Twitterを通してやままさんに紹介させてもらった後で、もう一度読み直してみました。
内容はこんな感じ。Amazonの紹介文をそのまま引用します。
一カ月前に学校から消えたなつみさんは、新興宗教オモイデ教の信者になって再び僕の前に現れた。彼らは人間を発狂させるメグマ祈呪術を使い、怖るべき行為をくりかえしていた――。狂気に満ちた殺戮の世界に巻き込まれてゆく僕の恋の行方は? オドロオドロしき青春を描く、著者初の長編小説。
読み直してみた感想。やっぱりおもしろい。若い人にありがちな「僕はみんなとは違う」をこじらせている主人公。そんな主人公がメグマ祈呪術という「みんなとは違う」能力を持つことによって果たして?という展開なのですが、とにかくどろどろしていて救いがない。
あとがきで大槻ケンヂが
この『オモイデ教』、本当は「必殺!シリーズ」のような話になる予定だったんです。なつみとボクと中間さんが超能力仕事人として毎回「悪しきもの」達を狂人化させていく。そんな痛快バイオレンス小説にするつもりが、
と書いてあるのですが、こんな内容だったら今まで覚えてもいないだろうし、衝撃も受けていない気がします。決して、読んで楽しい本というわけではないのですが、今の私に少なからず影響を与えている本なので、紹介させてもらいました。
やままさんが著書の中で、
なんとなく不安に感じていた「いつまで経っても何者にもなれない自分」。「書く」ことでモヤモヤした感情が少しずつクリアになってきたのだと思います。
と書かれていたのを思い出して、手にしたのが「メグマ祈呪術」ではなく「書く」でよかったというのが、今回新たに感じたことです。合掌。