街中を歩いていると、イベントのポスターが目に入りました。といっても物理的に目に入ったわけではなく、視界の中に入ったという比喩表現です。「元・お笑い芸人として活躍していたパフォーマーが登場!」みたいな感じの文章が書いてあって、ものすごくもんにょりしたので筆をとりました。ウソです。実際はキーボードを叩いています。このご時世に筆をとるなど時代錯誤も甚だしいわけですが、私が小学生の頃は授業で書道がありまして、なぜか墨を刷って、刷って、刷りまくらねばなりませんでした。面倒なので墨汁を使わせろとごねると先生が「墨を刷ることで心を落ち着かせるのです!」と言い出して、「結局は根性論か!」と、さらにごねていた小学生の頃。せっかちな有馬くんなど、うっすいうっすいほとんど水のような墨液でもって字を書いていましたが、お葬式の香典袋に名前を書くんじゃないんだから、やっぱりある程度濃くないとダメだよね〜と思います。
もっと言いますと「墨を刷る」じゃないんです。「墨を磨る」だそうです。達磨の「磨」ですよ、「磨」。せっかくなので、漢字だけでも覚えて帰ってください。ぐわぐわ団も、たまには役に立つのです。ただ、墨を磨るなんて言葉を書く機会がめったにないのが気がかりです。そして読み方は「すみをする」ですからね。「墨を磨る」を「すみをみがる」とか「すみをまる」とか、変なふうに読まないように。
話が進まないので軌道修正しますが、「お笑い芸人として活躍」なら問題ないのです。ああ、お笑い芸人だったんだと思うだけです。しかし「元・お笑い芸人として活躍」ということは、お笑い芸人を辞めた後に何かしら活躍していたということになります。なるんです。じっくり考えてみてください。元・お笑い芸人ということは、お笑い芸人ではありません。元・お笑い芸人という肩書きで、お笑い芸人ではないけれども、何らかの活躍をしていたと考えなければならないのです。ややこしいことです。
お笑い芸人ではないけれど、何かしらの活躍をしていた人が、満を辞してパフォーマーとして登場します!というのが、今回のポスターの訴えたいことであったとすれば、もはや何がなんだかさっぱりわからないというのが今回の結論です。合掌。