赤子は「オンギャー!」と泣きます。びっくりするぐらいに「オンギャー!」です。あまりにもベタな泣き方をします。もうちょっとバラエティーに富んでいると思っていたのですが、一律に「オンギャー!」です。赤子が同盟を組んで、泣くときは「オンギャー!」にしようと口裏合わせをしているとしか思えません。もし、本当に口裏合わせをしているのだとしたら、許されざることです。
いや、別に悪いコトをしているわけでもないので、許してあげてもよいと思います。そもそも、許す、許さないといったことではないのかもしれません。赤子が「オンギャー!」と泣くのは、仕方のないことなのです。
ここまでが前提条件です。では、何が問題なのでしょうか。
問題は、いつまで「オンギャー!」が使えるかどうかです。赤子が「オンギャー!」と泣くのはよろしい。ただ、ずっと「オンギャー!」ではない。その境目がどこかということです。
「全米が泣いた!」という宣伝文句を目にした方はたくさんいらっしゃるかと思いますが、本当に全米が泣いたのかどうかは別として、アメリカ人が「オンギャー!」と泣いているわけではありません。「全米が泣いた!」という映画の場合、だいたい感動して泣くことが多いと思うのですが、その場合は目に涙がたまって、うるうるときているうちに涙を流すというのが本来想像できる泣き方です。「全米が泣いた!」映画を見て、アメリカ人が全員「オンギャー!」と泣いたのだとしたら、それはもうどんな映画なのか別の意味で興味津々です。万障繰り合わせて是非見て観たい。『MX4D』か『4DX』どちらかで観てみたい。しかしながら、そんな泣き方をアメリカ人はしていないはずです。
つまり、アメリカ人は大人になると「オンギャー!」と泣かない。先ほどの例から導き出された結論です。日本人はどうか。よくわかりません。ただ、映画館で「オンギャー!」と泣いている大人は見ないし、ドラマなんかでも出演者が「オンギャー!」と泣いているのはなかなか目にしません。出演者が赤子のときぐらいのものです。
みなさんはぜひ「オンギャー!」と泣いてください。お願い致します。合掌。