ぐわぐわ団

読んで損する楽しいブログ

聞き耳を立てる

先日、吉野家に行って牛丼を食べたときのお話です。PayPayで支払をすると40%還元とかめちゃくちゃなことをしていたので、ほいほいと乗っかったのです。

となりのテーブル席に男女二人組がやってきました。壁に貼ってあった牛すき鍋膳のポスターを見て、「これ、めっちゃうまそうやなぁ!」男がやったら声を張っています。「最近、すき焼きとか食べてないし。しかも、めっちゃ安いやん!」話している内容は牛すき鍋膳が美味しそうということなのですが、長く生きていると、いろいろとわかるのです。男は目の前の女性の気を引きたいのです。あわよくば、右のポケットに忍ばしている綺麗な箱に入った指輪を出して「結婚してください!」と言いたいのです。そのきっかけをどうにかして探っているに違いないのです。

ちなみに、前に座っていた二人組がやたら納豆のパックを積んでいたので、微妙に納豆の臭いがしています。まだ、残り香があります。

引き続き、男は声を張ります。「いやぁ、他にもいろいろあるけど、やっぱり牛すき鍋膳がうまそうやな。」「牛すき鍋膳を一つ頼んで、ライスとたまごを追加して二人で食べるとかもできるんと違う?」わけのわからないことを言っていますが、牛すき鍋膳は二人でつつくようなもんでもないし、そんなみみっちい話をすると女性はドン引きするからやめたほうがよろしいと心の中で助言をしつつ、ふと前を見ると、相方もニヨニヨしています。男の頑張りに気がついているのでしょう。相方とはそれはそれは長いお付き合いですので、こういうときはアイコンタクトで全てが通じてしまいます。

そして、ついに男女二人組の注文の時間がやってきました。あれだけ牛すき鍋膳を推して、推して、推しまくっていたのです。二人で牛すき鍋膳にするのかと思いきや、

「牛丼の並と特盛で!」

腰が砕けるとはこういうことです。あれだけ気合を入れて声を張って牛すき鍋膳でアピールしていたというのに、最後の最後でノーマルな牛丼。しかも、特盛で男らしさアピールですか。それなら超特盛があるんだから中途半端なことをしてはいけません。

「いや、しかし牛すき鍋膳、やっぱり美味しそうやな!」

って、じゃあ注文せえよ!と心の中でツッコミをいれつつ、いつ右のポケットから婚約指輪を取り出すのかわくわくしていたのですが、結局、男が婚約指輪を出すことはありませんでした。あの流れだと絶対にプロポーズするはずだったんだけどなぁ……。おかしい。合掌。