ぐわぐわ団

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海が見たいとベロニカは言った。

海が見たいとベロニカは言った。

ベロニカは可哀想な女だ。生まれてすぐに医師から余命百年だと宣告を受けた。それからというもの、ずっと死と隣り合わせに生きている。そんなベロニカが海が見たいと言ったのだ。

「どこの海がいいかな。地中海かい、それともカリブ海かい」

私の問いかけにベロニカは決まってこういうのだ。

「御嶽海」

こういうときはそっとしておくに限る。出羽海部屋に行って御嶽海を見たところでベロニカは満足しないのだ。

静かにちゃんこを食べ、時が過ぎるのを待つ。ベロニカは何も言わない。しかし、御嶽海を見たい気持ちを抑えることができず、夜中に涙を流してこういうのだ。

「御嶽海が見たかった……」

何を書いているのか自分でもさっぱりわからないのですが、とりあえず「海が見たいとベロニカは言った。」とネタ帳に書いてあったので、ハードボイルド小説っぽく描き始めてみたのです。そうしたらこんな感じになりました。

余命百年というのは普通に考えたらめちょんこ健康で天寿を全うできるということに他ならないと思うのですが、書き方次第でこんなに暗い感じになるのです。だいたい、ベロニカというのは誰なのでしょうか。イタリア人かスペイン人っぽい。

そして、もうちょっと長く書けるかなと思ったのですが、「御嶽海」と書いてしまった時点でもうダメでしたね。自分の限界を感じました。頑張りすぎてもダメだと思い、途中で筆をバキバキに折ってしまいましたが、どなたか続きを書きたいという危篤な方がいらっしゃいましたら、ぜひ続きを書いて頂ければと思います。

危篤な方が文章を書けるはずもないんですけどね。危篤なんだから。だから、言い回しをきちんと選ばないといけません。比喩的な表現としての危篤な方ではあるけれども、実際は健康で、日本語を使いこなすことができる方という説明を入れておかないと、本当に危篤な方が命を削って文章を書くハメになります。それは許されることではありません。合掌。