天ぷらは塩で食べるのが好きです。
しかしながら、「天ぷらは塩で」と言うと、どうしても食通っぽく聞こえてしまうのが我慢ならんのです。
例えば、お見合いの席で。
女「天ぷらはどのようにお召し上がりになるのですか?」
男「天ぷらは塩で食べるのが好きですね。」
女「まあ、食通でいらっしゃるのね。」
こうなるのです。そして「あとは若いお二人で……」という流れになって、ししおどしだかこけおどしだかわかりませんが、そんなものを見ながら、
女「どうして天ぷらを塩で召し上がるの?」
男「だって天つゆにつけたらサクサク感がなくなるやん」
女「でも、せっかく天つゆがあるのに!天つゆ職人さんが聞いたら泣きます!」
男「なんやと、塩で食べたらあかんのか!」
女「そうよ!天ぷらには天つゆよ!私の家は代々天つゆを作ってますの!この、天つゆの敵め!」
男「ぎゃー」
殺人事件です。わけがわかりません。
このように「天ぷらは塩で」と主張すると、どうしても食通っぽさが出てしまうのです。先日、ハゲ天という天ぷら屋さんで「目についた中で一番高いコース」を注文しました。ぐわぐわ団も驕り高ぶったものよと思われるかもしれませんが、その批判は甘んじて受けましょう。たまには贅沢したいのです。
それはそうと、「目についた中で一番高いコース」というのは、天ぷら職人さんが揚げたての天ぷらを持ってきて「海老の天ぷらです。塩がオススメです。」「ナスの天ぷらです。天つゆがオススメです。」というふうに、塩と天つゆのどちらがオススメかを教えてくれるのです。もちろん、オススメのとおりに食べるのですが、「海老の天ぷらです。塩がオススメです。」と言われると「じゃあ、天つゆも試してみよう」となり、実際に天つゆで一口かじって「ああ、やっぱり塩がいいな」と塩の凄さを実感するのですが、何が「ああ」だと思いませんか。書いていて、自分で何が「ああ」だと思いました。ひどいものです。
天つゆでも塩でも、どっちでもいいのです。美味しかったら。ただし、天ぷらをウスターソースで食べるのは許さん。合掌。